パブロフの犬やないぞ!

ベルを鳴らして犬にエサをあげる。その行為を繰り返していくと、やがてその犬は、エサがなくてもベルの音を聞いただけでよだれが出てくるようになる。かの有名な「パブロフの犬の実験」です。

本日は、みやざき中央新聞の社説に書かれていた面白い話をシェアしてみます。

知っている人も多いと思うが、この「パブロフの犬」の話は、意外と奥が深く、私達は日常生活の中で、いい意味でも悪い意味でも、この「パブロフの犬」になっていることが少なくない。

「ベルの音」という外的刺激が、エサをもらっていた記憶を呼び起こして、「よだれが出る」という生体反応を引き起こす。これを心理療法の世界で「アンカーリング」といい、生体反応を引き起こす外的刺激を「アンカー」というそうです。

 運転中の車のラジオから、昔よく聞いていた歌が流れてきたとする。それを聞いていたら自然と涙が出てきた。なんて経験はないだろうか。ちょうどその歌が流行っていた時、恋人と別れたとか、親を亡くしたとか、そんな体験をしていると、その歌が「アンカー」となって、「悲しかった思い出」を呼び起こし、「涙が出る」という生体反応を引き起こす。

先ほど、「心理療法の世界で」と書いたが、アンカーリングは様々な生きづらさを抱えている人の精神分析や治療、援助などに使われている。

たとえば、学校でいじめにあう。そういう子は、だんだん教室にいることが苦しくなる。そのうち、学校に行こうとするだけで、腹痛や胃痛などの生体反応が引き起こされる。やがて学年が上がってクラス替えがあり、もういじめっ子はクラスにいなくなったのに、学校に対して体が拒否反応を示す。最初、マイナスのアンカーは「いじめっ子」だったのに、それが繰り返されると、「学校そのもの」がマイナスのアンカーになってしまう。

片山:これは形は違っているけど、自分も経験したことがあるので良くわかりますね。話は続きます。

家族関係でもアンカーリングは起こりやすい。夜遅く酔っ払って帰ってくるといつも妻から小言を言われる。それを何度も繰り返していると、ほろ酔い気分で帰ってきても家の灯りが見えた瞬間、酔いがさめてしまうとか、家に帰りたくないという帰宅拒否症候群になってしまう事がある。

何より厄介なのは、マイナスのアンカーは、その人が無意識に作りだしていることらしく、子供がいい事をしたら褒め、悪いことをしたら叱る。この当たり前のように行われているしつけも、自分の怒りの感情を子供にぶつけてスッキリしているだけ、なんてことになりかねない。

『あなたの恋愛がうまくいかない本当の理由』の著者で、恋愛セラピストの阿妻靖史さんは、「大事なことは相手にとって、あなた自身がプラスのアンカーになることと、メルマガで書いていた。

「日頃からちょっとしたことで小言を言ったり、愚痴ったりしていると、あなた自身がマイナスアンカーになり、あなたの顔を見た瞬間、『怒られるかも』『小言を言われるかも』『不機嫌になられるかも』と警戒してしまう」

片山:これは若いころ自分にも経験があるので良くわかる!ただそんな人に出会ったからこそ今があると思っていますね。話は続きます。

自分自身がプラスのアンカーになるということは、優しい言葉や励ます言葉、褒める言葉を日頃から掛けてあげることだ。相手が男性の場合は、褒めるよりも、喜ぶ方が望ましい。たとえば、相手が何か自分の為にしてくれたとき、心の底から喜びの気持ちを表現する。それを繰り返すと、その人は益々そういう行動が増えていく、と

さらに、阿妻さんは言う、「相手が人間の場合。プラスのアンカーを作りだす人の精神的成熟度が問われます。この点が犬のしつけと一番違うところです。」この言葉には、なるほど~唸った。

相手のどんな行為を喜ぶのか、だ、相手が自分に都合がいい事をしたとき喜ぶのか。相手が道徳的にいいことをしたとき喜ぶのか。困難にぶつかって、それを乗り越えたときよろこぶのか。プラスのアンカーを作りだす人の精神的成熟度がここで問われる、というわけである。人生にプラスのアンカーリングを・・・

ここまで、文章をシェアしてきて思うのは、人はやはり感情で動くではないですが、人は感情で学習する生き物なんだと思いますね。子供達には体験学習的な方がいいと仲間たちと話したこともありますが、頭で学習する事も必要です。それ以上に感情を揺さぶられるような体験を多くした方が、なんとなくよさそうです。

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